鳥海山ー山歩き雑感ー

21、山頂御室

 山頂御室を見ると、「こんなすごい所に・・・」といつも思います。国内には標高3000mを越す山頂付近に建つ山小屋が数多くあり、長年の風雪に耐えています。鳥海山の山頂御室の何がすごいかというと、それは溶岩流の上に建っているということです。日本の山はほとんどが火山です。ほとんどの山小屋は溶岩流の上に建っているのですが、鳥海山の御室は、今からわずか221年前に噴出した溶岩流の上に建っているのです。新山が噴出する前、大物忌神社は荒神ヶ岳の隣,今の新山溶岩ドームの位置にあったと言われています。新山の噴火で跡形もなくなった大物忌神社は新山溶岩流の上に間もなく再建されました。昔の人々の、鳥海山信仰の強い力を感じます。

行者岳から見た新山と山頂御室

御室の建物群

新山溶岩ドームに守られているようにも見える

冬を迎える山頂

雪に閉ざされた山頂御室と新山ドーム

 御室で長い間小屋番を務めてきた知人がいます。「突然鳥海山が大噴火を起こす可能性はあります。マグマが噴出するとしたら小屋の下から突き上げてくるのでしょう。覚悟はできていても、脳裏に不安が走ることがあります。」御嶽山の大噴火で、大勢の登山者が犠牲なった後の会話です。

 誰もいない御室の期間外の小屋で、シュラフにくるまって微睡んでいるとき、フッ!と知人の言葉を思い出した時がありました。