追憶の山紀行

神室連峰

 久しぶりに神室連峰に向かった。最上町の親倉見から登り槍ヶ先に上がる。ここは神室連峰では比較的楽に主稜線にたどり着くことが出来るルートだ。数年前からの膝痛を抱えているため、行ける所までとする。同行は、いつも元気いっぱいの山仲間Nさん。槍ヶ先から先は、火打岳に向かうNさんに先に進んでもらう。

 雲一つない晴天で暑い中、汗だくになって登り着いた槍ヶ先。残雪模様が美しい鳥海山が目に飛び込んできた。思わず感激の声を上げてしまう。空気が澄み渡り、振り返ると八森山の向うに残雪に彩られた月山と葉山が見えていた。

                 鳥海山 右手前は丁山地

 

         新緑が這い上がる八森山の向うに月山(右)と葉山(左)

 

 西から爽やかな風が吹き、北に火打岳の鋭鋒が見える。鞍部に下り、中先を目指す。先を行くNさんが中先のピークを越えるのが見えた。膝に負担を掛けないように慎重に登った。主稜線の西側は傾斜が緩くブナ林が広がり、東側は雪崩で磨かれた急斜面。東西非対称山稜と呼ばれて神室連峰の特徴とされている。東側の急斜面の縁につけられた道を歩いていると、冬の主稜線で経験した足元から崩れ落ちる雪庇の恐怖を思い出す。

 膝に気を遣いながら、ようやく大尺山にたどり着いた。目の前に鋭く天を突く火打岳が聳えている。北に連なるのは連峰の最高峰小又山、その先に神室山が見えていた。火打岳を目指したNさんが戻るまで、連なる山々を眺めながらのんびり過ごした。

            小又山(右)天狗森(中)神室山(左奥)

 

               火打岳を背に大尺山に戻るNさん

 

      大尺山から南に、中先(右)から槍ヶ先、八森山へと続く主稜線

 

 天気は変わらず晴天が続いた。火打岳から戻ったNさんと槍ヶ先に戻り、親倉見に向けて下山の途についた。

                            (2020年5月下旬)

                        *概念図は地理院地図を使用