19、石祠
鳥海山を吹浦口あるいは湯の台口から登ると、途中からかつての登拝道を辿ることになります。登拝道には拝所があり、石祠が置かれています。これまでの山行で多くの石祠にカメラを向けてきました。その中で、周囲の環境や景観と一体になった祠の写真を何点か上げてみます。
八丁坂の中間 ハクサンシャジンやトウゲブキが咲くお花畑の中に
心字雪渓の入り口 小さい立像と首のない座像が共に祀られている
薊坂を登り切った所 庄内平野と日本海を望む
伏拝岳の三角点近く 大物忌神社と新山の拝所
役行者が開山したと言われる行者岳の鞍部にある
扇子森のピーク付近 新山を遥拝する
後ろの岩は「蛇石」と言われている ハクサンイチゲに囲まれていた
拝所の石祠は、大正12年ころに酒田の商人が奉納しました。各拝所の祠は形や大きさがほぼ同じで、作成や奉納の詳しい経緯は分かっていないようです。
登拝者は、各拝所を回り、祠を前に「綾に綾に奇しく尊 鳥海御山の神の御前に拝み奉る」と、神々しい景観を前にして唱えて自然との一体感を感じていたと言われます。
山中で出会った石祠を前にして、「あやにあやに・・・」という拝詞を心の中で唱え、かつての信仰登山に想いを馳せることは、鳥海登山をより味わい深いものにすると思っています。
*参考文献「史跡鳥海山ー国指定史跡鳥海山文化財調査報告書ー」