鳥海山ーモノクロームの情景ー
影鳥海の撮影(2017年2月27日~3月1日)
中学生の時、影鳥海を見たのが鳥海登山の始まりだ。七高山で御来光を拝み、振り返って影鳥海に感動し、千蛇谷に流れてきた霧に現れたブロッケンに衝撃を覚えた。この時から半世紀をかけて鳥海山に登り続けてきた。
これまで撮影した鳥海山の写真を振り返り、影鳥海の写真が無いことに気が付いた。影鳥海は夏山限定の風物詩であるという固定観念に縛られていたことと、多くの登山者で混雑する盛夏の山頂小屋に泊ることを出来れば避けたいということが、影鳥海を撮影する機会を持たなかったことの原因である。しかし、考えてみると影鳥海は夏山限定の風景ではないのであって、鳥海山と太陽があれば年中絶えることなく影鳥海は出現しているのである。そんな当たり前のことに気付いた時から「四季の影鳥海」の撮影が鳥海登山のテーマに加わった。
2月末から3月初めにかけて、天気予報が3日間の晴天を伝えている。真冬の影鳥海を撮影するチャンスが巡って来た。入山に一日目を費やすとして、その翌々日の日の出時間に外輪山に立っていれば撮影は可能。あとは自分の体調と天気次第だ。この3日間は新月であり月明かりが期待できず、夜間登山は難しい。そこで、外輪山ビバークを計画した。場所は、若い頃に雪洞を掘って泊ったことがある行者岳の鞍部しかない。
・滝ノ小屋に荷物を置きソロバン尾根末端まで(2月27日)
滝ノ小屋の手前で追いついてきた登山者は知人のHさんだ。明日、新山を目指すと言う。夕方までの時間、二人でソロバン尾根末端までルートフラッグを設置する。ソロバン尾根に登り着いた時、弱い西風に乗ってダイヤモンドダストが飛びサンピラーが出現した。
霧氷を纏うダケカンバ
ルートフラッグを立てながらソロバン尾根に向かう
ソロバン尾根末端で見た岩氷
風紋の雪原とサンピラー
雲流れる月山森
ダイヤモンドダストが降り積もった雪原