鳥海山ーモノクロームの情景ー
・影鳥海(3月1日)
朝焼けが始まっていた。栗駒山と月山だけが雲海の上に頭を出している。朝日が昇る前に動き出さなければならないことが分かっていても身体が怠い。雪面から伝わってくる寒気でよく眠れなかった。寒さで固くなった身体の動きは鈍く、夜明けは近くで見るしかない。日の出に合わせて外輪の縁に立つと、雲海の上に現れた鳥海山の影が次第に明瞭になってくる。初めて見る真冬の影鳥海だ。
荷物をまとめて下山を始めた。行こうと思っていた新山に背を向けて歩き出す。雲海が月山に繋がる架け橋のように視界を埋めていた。
雲海の上に現れた影鳥海
千蛇谷と西鳥海が影の中に眠っている
雲海の果ての月山
朝陽を浴びる新山
下山を前にして新山を見る