追憶の山紀行

月山 2

 翌朝、八合目は濃霧で明けた。様子を見ていたが晴れる気配はない。雨の心配はなさそうなので山頂に向かうことにした。展望皆無の中を黙々と登り、行者返しでオモワシ山を振り返ると、薄れてきた霧の中に動く白いものが見えた。目を凝らすと見えてきたのは白装束の登拝者の一団。西風に乗って流れてくる霧が霊験あらたかな雰囲気を醸し出す。悪天候を突いて登って来る登拝者の姿に、信仰登山に内在する気迫のようなものを感じて目を離せなくなった。

              霧の中に見えてきた登拝者の一団

 

                  次第に霧が晴れてきた

 

                  天気は回復に向かった

 

                    モックラ坂を行く

 

                   見えてきた山頂

 登拝者の集団を振り返りながら、追われるように大峰にたどり着いた。強い西風に霧が飛ばされて山頂が見えてきた。

                            (2015年8月上旬)

                       *概念図は地理院地図を使用