鳥海山ー山歩き雑感ー
9、「岩峰」に載る巨岩
麓の遊佐町白井新田から登って来る長坂道があります。登山口の山ノ神から標高差約1300mを登り、たどり着いた笙ヶ岳一峰から二峰、三峰、岩峰と三つのピークを経て御浜に到達する長大な尾根道です。「岩峰」は御浜と笙ヶ岳の中間に位置することから以前は「中岳」とも言われていました。登山道は「岩峰」のピークを踏まずに南から巻いて通過します。ピークを見上げると、今にも崩れ落ちそうな頭上の巨岩に驚きます。これが近年になって「岩峰」と言われるようになった理由でしょう。
周囲にニッコウキスゲが咲いていて穏やかな風景のようですが、見る方向を変えると、急斜面に辛うじて止まっている巨岩の様子が分かります。。
斜面に引っ掛かている岩は、冷えた時に亀裂が入ったと思われる溶岩塊で、花が開く寸前のような形で、いずれパカッ!と行きそうです。付近には崩れ落ちたとみられる岩が転がっています。登山者はまさか自分が通る時に崩れるはずはないと思っているのか、平然と岩の下の通過して行くのです。私も同じです。まれに、自然は人間の都合に合わせてはくれない、などと頭の片隅で考えてしまったら大変。突然早足になってしまいます。
この岩がピークを外れた急斜面に引っ掛かっていることが不安の種になっています。なぜこのような岩が「岩峰」に載っているのか不思議で、いろいろ調べて見たのですが何も分かりません。長坂道の尾根には冬期に巨大な雪庇ができます。雪が斜面を動く時に働く力は相当なものです。鳥海湖に向かう斜面に設置された木道が数年の間に壊れてしまったことがそれを証明しています。同じように、「岩峰」の斜面に載る巨岩も雪の圧力で下方に強く引っ張られていることは確かです。