鳥海山ー山歩き雑感ー

8、御田ヶ原に広がる階段砂礫

 

秋の御田ヶ原と山頂

 

 御田ヶ原を前景にした鳥海山は大好きな風景で、ここを訪れた時は四季を問わずシャッターを押します。なだらかな尾根いっぱいに広がる階段砂礫が、不思議な風景を見せてくれます。礫地が細長い段々を造る地形は周氷河地形と言われていますが、風の作用も大きな成因とされています。平坦な部分の礫地には植生がありません。この一帯は強風地帯で冬期の積雪が非常に少ないために寒気の影響を受けやすく、礫地に含まれる水分は凍結と融解を繰り返します。その度に礫が動き植物はなかなか着床できません。礫はふるいにかけられたように動き、環状砂礫や線状砂礫を形成します。これらは周氷河現象と言われています。細長い礫地には稀にチョウカイフスマが咲き、礫地以外の傾斜部分はハクサンイチゲミヤマキンバイ、ミヤマトウキ、オクキタアザミなどが咲く草付きになっています。

チョウカイフスマ

ハクサンイチゲの咲く頃

霧氷の御田ヶ原

階段砂礫と月山森

 

 双耳峰の姿で聳える新山と七高山、それと対照的に階段砂礫が広がるおおらかな御田ヶ原。それらが四季折々に見せてくれる山岳風景は本当に素晴らしいと思います。