鳥海山ー山歩き雑感ー

4、東鳥海馬蹄形カルデラ内を流れた溶岩

康新道から稲倉岳を望む

 康新道から西に見えるのは切り立つ東壁を顕わにした稲倉岳です。稲倉岳東壁と足元から切れ落ちる断崖は東鳥海馬蹄形カルデラ壁の一部であり、二つの壁に挟まれたカルデラの底には溶岩流が見えます。溶岩は冷え固まっているのに、今も動いているような迫力を感じさせます。無秩序に流れ下っている溶岩流の中に不思議な地形がありました。その形は、見方によっては大きな梯子を思わせます。鳥海山の昔話に登場する巨大な妖怪「手長足長」が掛けたハシゴかもしれません。

写真2 獅子ヶ鼻溶岩流

 鳥海山は溶岩の山と言われています。火山灰や火山礫の噴出が少なく、溶岩の流れが地表近くに明瞭に現れていて火山活動の解明に役立っていると言われています。斜面の至る所に見られる火山活動の痕跡を探しながら歩くのも大きな楽しみだと思います。

写真1 外輪山から見た荒神ヶ岳溶岩流

火山用語解説

・溶岩堤防 溶岩流の側面は、流れの中心より早く冷えて中心部分より高くなり、堤         

      防のように盛り上がる。

・溶岩しわ 溶岩流のたわみがそのまま固まった。流れの方向と直交するものを言う。