鳥海山ー山歩き雑感ー

3、千畳ヶ原湧水

 8月上旬、御浜から鳥海湖をかすめて千畳ヶ原に下りました。木道を歩き、取り囲む周囲の峰々を見渡しながら夏の爽やかな草原を彷徨う計画です。T字分岐で一休みした後、幸治郎沢に向かい、沢の登り口で、ここに咲くミソガワソウと咲き始めのチョウジギクを見ることができました。T字分岐に戻り、次は二ノ滝口の木道を下ります。庄内平野まで続くような木道を下り、右側に小さな池塘のある辺りで笙ヶ岳を見上げ、来た道をのんびり戻りました。

ミソガワソウ

チョウジギク


 道の左の方から沢音が聞こえてきました。見ると尾根の窪みから水が流れていました。「水が尾根から流れ出ている?これは湧水に違いない。大発見だ!」と早とちりしてしまいました。下山して文献を調べると「千畳ヶ原湧水」についての記述がありました。ガッカリです。

二ノ滝道の左に湧水源があった(奥は鍋森)

 登山道を外れて湧水源に近づくことはできないので、後日、望遠レンズで撮影しました。

湧水点

 秋になっても変わらない水量であることが、湧水の証になると考えてもう一度訪れて撮影しました。

 尾根から湧き出す湧水、と言えば大平口の「とよ」を思い出します。残念なことに、「とよ」は水の流れを見ることができなくなりました。以前は勢いよく水が流れていました。尾根状に盛り上がった溶岩流に樋のような穴が空いていてそこから水が湧き出ことから「とよ」と呼ばれている、と教えられました。

 西鳥海火山の崩壊カルデラの底に当たる千畳ヶ原は、文珠岳付近を越えて流れ込んだ溶岩で形成された溶岩台地の上に出来た湿原であると言われています。「千畳ヶ原湧水」は尾根状に盛り上がった溶岩流に空いた穴が湧水源であると想像できます。