追憶の山紀行

月山 2 翌朝、八合目は濃霧で明けた。様子を見ていたが晴れる気配はない。雨の心配はなさそうなので山頂に向かうことにした。展望皆無の中を黙々と登り、行者返しでオモワシ山を振り返ると、薄れてきた霧の中に動く白いものが見えた。目を凝らすと見えてき…

追憶の山紀行

月山 1 月山八合目の駐車場に車中泊をして朝夕の弥陀ヶ原を散策する。夏の月山は午後に決まって雲が湧く。この日も八合目は雲の中。明日の朝に期待しようと思って車で待機していたら急に晴れてきた。身支度を整えて弥陀ヶ原に向かう。キンコウカが咲き始め…

追憶の山紀行

神室連峰 久しぶりに神室連峰に向かった。最上町の親倉見から登り槍ヶ先に上がる。ここは神室連峰では比較的楽に主稜線にたどり着くことが出来るルートだ。数年前からの膝痛を抱えているため、行ける所までとする。同行は、いつも元気いっぱいの山仲間Nさん…

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岩手山 4 濃霧の朝が明けた。出発準備が終わっても霧の状況は変わらない。下山途中、平笠不動の辺りから明るくなり陽が差してきた。コマクサの群落地帯まで下った時、昨日とは違う光線の下の花々を見て足が止まった。今日も二人を待たせることになった。 「…

追憶の山紀行

岩手山 3 石仏が並ぶお鉢と呼ばれる外輪山を歩き、分岐から火口内に下る。スコリアの斜面にタカネスミレの群落があった。雲間から射す陽光が火口の内側に差し込んでくる。火口内の所々に巨大な岩塔が立っていた。岩手山神社奥宮から外輪山に上がり、火山礫…

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岩手山 2 避難小屋を過ぎると本峰の登りになる。オオシラビソを縫ってスコリアのザレた急斜面を行く。。タカネスミレの群落の中に固有種のイワテハタザオが咲いていた。外輪山に上がると火口の中の妙高岳が見えてくる。分岐を左に進み、コマクサのイラスト…

追憶の山紀行

岩手山 1 暗いうちに酒田を出発して、ようやく焼走り登山口に着いた。これから山頂を越えて八合目避難小屋まで行く予定。けっこう長丁場である。登山口で待ち合わせたのは、二十代の時に勤めていた会社の上司で山の師でもあるNさん。酒田から長距離運転をし…

追憶の山紀行

大朝日岳 4 夜明けとともに再び山頂に立つ。朝日は霞の向うから昇ってきた。雲海に浮かぶ月山と鳥海山が見えた。主稜に雲はない。今日一日は晴天が望めそうだ。 朝霞の中の月山(右)と鳥海山(左) 中岳や西朝日岳、遠く以東岳もほんのり桜色 ヒナウスユキ…

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大朝日岳 3 小屋に戻り、管理人のAさんとしばらく談笑。Aさんも今日登って来たと言う。ヒメサユリに見惚れているうちにAさんに追い越されていた。小屋の前で休んでいると、小屋泊りの登山者が登ってくるのが見えた。流れる雲が印象的だ。 山頂直下の大朝日…

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大朝日岳 2 熊越の鞍部を過ぎて緩やかに登って行くと、道の両脇にヒメサユリが多くなった。銀玉水の手前の平坦な登山道はヒメサユリロードと言っても良いくらいだ。蕾が多く、これからもっと咲くのだろう。花の形や色の濃淡には個体差があり、見とれている…

追憶の山紀行

大朝日岳 1 梅雨が本格的になる少し前、朝日連峰の稜線にヒメサユリが咲く。朝日連峰には数多く足を運んでいるが、ヒメサユリを見たことがなかった。思い出すのは、4日間雨にたたられ、投げやりな気分で下った飯豊のダイグラ尾根。咲いていた一輪のヒメサユ…

追憶の山紀行

小朝日岳 2 テントに赤い光が射してきて目が覚める。外に出ると、朝焼けが始まっていた。北に月山が見える。ブナの立木を通して見る古寺山も赤く染まった。 テント場の夜明け 黎明の月山 テントをその場に残して最小限の荷物を背負い、昨日の自分のトレース…

追憶の山紀行

小朝日岳 1 混み合うゴールデンウィークの前に残雪の朝日連峰を見たい、と思い車を走らせる。道路状況を問い合わせてみると、古寺集落まで除雪が進んでいるらしい。その先の、古寺鉱泉までの林道については不明のまま。未明の大井沢を通り抜け、地蔵峠から…

追憶の山紀行

湯殿山 凍結した月山道を越えて志津に向かった。弓張平に着くと月山、姥ヶ岳、湯殿山、三つの白い山が見えた。湯殿山に、西から黒い雲が流れているのが気になる。志津の温泉街を抜けた先の除雪終点に車を止めた。 旧六十里街道の入り口でスキーを履き、石跳…

追憶の山紀行

森吉山 雪が降る阿仁ゴンドラ山頂駅を出て身支度を整えた。歩き始めようとしたらスキー場の責任者が現れて、「ここから先は立ち入り禁止です」と言う。付近には立ち入り禁止の大きな看板があった。「私たちは遠い山形から来ています。何とかお目こぼしを・・…

追憶の山紀行

秋田駒ヶ岳 田沢湖スキー場の第三リフトを下りて、シールを着けて歩き始めた。雲が多いものの時々青空が見える。ここしばらく寒波は弱く、山もさほど雪は積もっていない。リフトから少し登るとすぐに森林限界だ。スキーヤーから見えない位置にテントを張った…

追憶の山紀行

月山草光台 (1986年2月23~26日) 地形図を開いて厳冬の月山に迫る登高ルートを探した。羽黒口から弥陀ヶ原、あるいは櫛引から雨告山を経由しての行程はあまりにも遠い。湯殿山スキー場を出発点にして品倉尾根を登るのが最短かもしれない。しかし、品倉尾根…

鳥海山ー雪山の登山者たちー

6、頂稜 山頂を目指す登山者たち 新山山頂に立つ 山頂小屋に下る登山者 眼下に白波の日本海を望む 春かすみの外輪を行く 彼方に望むのは月山と葉山

鳥海山ー雪山の登山者たちー

5、外輪山 文珠岳を目指して 立ち塞がる伏拝岳 登頂を終えて千蛇谷を滑降する登山者 外輪山を行く単独行者

鳥海山ー雪山の登山者たちー

4、ソロバン尾根 N川山岳会の人たちが登る 天気は回復に向かった ソロバン尾根上部は広大な雪の急斜面 吹雪が去った後のソロバン尾根

鳥海山ー雪山の登山者たちー

4、万助道 ドッタリ付近を登る 鍋森を目指して 蛇石流の吹き溜まりに雪洞を掘る 千畳ヶ原を行く

鳥海山ー雪山の登山者たちー

3、河原宿 山頂を目指して 風紋の雪原を行く 河原宿を行く登山者と笙ヶ岳 サンピラーを浴びて

鳥海山ー雪山の登山者たちー

2、滝ノ小屋付近にて 吹雪を突いて鼓岩を越える 小屋に着いた 地吹雪が襲う 山を下りる時 丁岳が見送ってくれた

鳥海山ー雪山の登山者たちー

1、初冬 雪に覆われた扇子森にて 稲倉岳を背に 外輪山を登る 外輪山を行く

鳥海山ー雪山の登山者たちー

山の写真を撮り始めたのは20歳代の中ごろ。知人から暗室に入ることを勧められて、山で撮ったモノクロフィルムの吹き伸ばしを体験した。引き伸ばし機で感光した印画紙を現像液に浸した瞬間に画像が浮き出てくる驚きと感動を味わう。それをきっかけに写真を趣…

鳥海山ー風雪の記憶ー

4、河原宿 2020年1月中旬、曇り空で時々日が差している。外輪山は雲に隠れていた。風もなく比較的穏やかな天気で登山者が多く、湯の台登山口から立派なトレースが出来ている。滝ノ小屋往復の人たちとすれ違いに、のんびり登って滝ノ小屋に着いた。同行は、こ…

鳥海山ー風雪の記憶ー

3、祓川 1985年の2月下旬、山仲間と4人で祓川に向かう。祓川にたどり着くために、花立から標高差600m、距離約10㎞の車道を歩かなければならない。 猛烈な地吹雪の中を車を走らせて花立の先の駐車場に車を止めた。スキーを履いて出発した直後の木境神社までは…

鳥海山-風雪の記憶ー

2、滝ノ小屋 1984年2月下旬、異常低温注意報(当時は「異常」を付けて発令されていた)を無視して、湯の台を出発した。同行は山仲間のSさん。激しく降っていた雪は次第に小降りになり、スキーを履いて南校ヒュッテを経由、尾根を進む。雪が吹き飛び所々地面…

鳥海山ー風雪の記憶ー

風雪の記憶 鳥海山の過去の山行で撮った写真を見ていると、強烈な風雪を思い出させてくれるカットが出てくる。そんな時、ちょっと大げさかもしれないが、何事もなく山から帰って来れた幸運に今更ながら胸をなで下ろしたりすることがある。ただ、写真が残って…

テントを背負って登った雪の鳥海山

5、中島台 夜明け前の県道58号の車止めから歩き始めた。除雪された路面がツルツルに凍っている。第一発電所を過ぎて2㎞ほど進むと除雪が終わり、先行する踏み跡が現れた。スノーシュウを履き、踏み跡を追って中島台リクリエーションの森を目指した。リクリエ…